MVNOのギモンを解消!

気になっている人多数!?
格安スマホの電波ってどう?

格安スマホ最大の魅力は、「安さ」にあります。価格が安くて品質もいいのであれば言うことはありません。しかし、安い代わりに、通信速度が遅い、通話品質が悪いといったように”電波が悪い”と感じてしまうのであれば、結局スマートフォンを有効に使うことができず、本末転倒となってしまいます。
では、実際に格安スマホの電波はどうなのでしょうか?ここでは、格安スマホの電波事情と電波に関しての豆知識を紹介していきます。

格安スマホは電波が悪いのか

格安SIM・格安スマホの基本

格安スマホの回線はどうなっているのか、そもそも格安スマホとはどういうものか、まずはその基本から簡単にご紹介します。

格安SIM・格安スマホ、MVNOとは

格安SIM・格安スマホとは、NTTドコモ、au、ソフトバンクといった携帯キャリア会社(MNO: Mobile Network Operator)から、インターネット・通話の回線を借りた通信業者が、独自のSIMカードやプランによりデータ通信や通話を提供するサービスのことを言います。ただし、格安スマホというと低価格なスマートフォン端末そのものを指す場合もあります。
通信回線等を自社で所持せず他の事業者から借りてサービスを提供する事業者のことを「MVNO(Mobile Virtual Network Operator/仮想移動体通信事業者)」と呼びます。MVNOには、プロバイダ事業を展開する企業や、有名企業も名を連ねています。LinksMateを運営する株式会社LogicLinksもMVNOのひとつです。

使いはじめるまで

格安SIMに対応したスマートフォン端末に、MVNOが提供したSIMカードを挿入し、必要な設定を行えば、キャリアの携帯電話と同じように通話、データ通信ができるようになります。格安SIMを使ってネットワークに接続した状態になりますが、実際に使用するのはNTTドコモやau,ソフトバンクといったキャリアが管理・維持している回線です。
格安SIMとの条件に合えば、それまで使っていた端末をそのまま継続して使うこともできます。引き続き同じ機種を使えるかどうかは、多くのMVNOのサイトで確認できますのでご参照ください。LinksMateでも独自にまとめた動作確認済み端末一覧で確認ができます。

基本的に、回線はキャリアと同じ

格安スマホはNTTドコモやau,ソフトバンクといったキャリアの回線を借りているので、通信品質は基本的にキャリアと同じです。キャリア各社は通信環境を改善するためにさまざまな対策を施しています。
ただし、MVNOによって借りている回線の量が異なります。決まった量を利用者間で分け合う仕組みになるので、アクセスが集中しているか、大容量のデータ通信を行っている場合に「電波が悪い」と感じることがあります。電波が悪いと感じるケースは、エリアや時間、利用人数によって異なります。細かく見ていきましょう。

電波が入るエリアの広さはどうなの?

格安スマホの対応エリアは、キャリアと同じ

通話・通信可能なエリア、いわゆる電波が届く範囲は、MVNOが借りているキャリアと同じです。NTTドコモから回線を借りているならNTTドコモが対応しているエリアと同じ、auから回線を借りているならauが対応しているエリアと同じ、という具合です。格安スマホだからエリアが狭くなるということはありません。
ただし、キャリアごとに対応エリアが異なるため、どの格安スマホがどのエリアに対応しているかは、どのキャリアの回線を借りているかによります。
各キャリアは通信環境の改善を常に行っていますが、たとえば山間部や海上など、一部未対応のエリアはキャリアそれぞれで存在します。
通信規格が3Gか、LTEか、5Gかによっても違います。3Gは第3世代の通信規格という意味で、NTTドコモを例とすると「FOMA」のサービスが3Gを使っています。LTEは第4世代・4Gの通信規格のひとつで、3Gよりも高速な通信速度が魅力です。NTTドコモを例とすると「Xi」のサービスが4Gを使っています。
5Gは4G/LTEで提供してきた高速・大容量をさらに進化させ、それに加えて低遅延、多数接続の特徴を持った通信です。
いずれも周波数帯(後述)が異なるので、対応エリアも異なることになります。
詳しい対応エリアはNTTドコモ、au、ソフトバンクのサイトで公表されているのでご確認ください。

対応していない周波数帯が多い携帯電話端末だとつながりにくくなる

スマートフォンに限らず携帯電話端末には、機種ごとに対応している周波数帯があります。格安スマホとして使おうとしている携帯電話端末が、MVNOが借りている回線の周波数帯に対応していないと、“つながりにくい”状態になります。

キャリアで対応している周波数帯が異なる

周波数帯というのは、国がラジオ放送や無線、携帯電話などを扱う通信事業各社に割り当てている電波の内訳です。“2GHz”というような表現で表されるものが周波数帯を表す名前です。
NTTドコモ、au、ソフトバンクは対応している周波数帯が違います。たとえばNTTドコモでは、4G/LTE回線用の帯域である3.5GHz、1.7Ghz、1.5GHz、800MHz、3G回線用の帯域である2GHzといった周波数帯を用意し、通信環境の管理・改善を図っています。
スマートフォンや携帯電話端末が同じ機種であっても、キャリアが違えば対応している周波数帯も変わります。
元々NTTドコモで使っていた携帯電話端末が格安SIMに対応していて、さらにMVNOが借りている回線が同じNTTドコモである場合、あまり問題はありません。MVNOが格安SIMと端末をセットで販売しているのであれば、そのままセットでの購入を行えば心配はありません。考えておくべきケースは、自分で機種を選ぶ場合です。これまで使っていた機種が別のキャリアの回線で使えるかは事前に確認しておく方がよいでしょう。また海外から携帯電話端末を購入する予定であれば、その販売元やMVNOで、端末に関する情報と使用可否を入念に確認しておく必要があります。
端末側がどの周波数帯に対応しているかは、その端末を扱うメーカーのサイトでご確認ください。

【まとめ】対応エリアについて

格安スマホの対応エリアは、格安スマホが回線を借りているキャリアと同じで、どのキャリアの回線を借りているかによって変わります。キャリアによって対応している周波数帯が異なり、また携帯電話端末にも対応周波数があります。
購入後に“つながりにくい”状態にならないようにするためには、「格安スマホを使う主な場所が、格安スマホが借りている回線のキャリアが対応するエリアかどうか」「スマートフォン・携帯電話端末がその周波数帯で使えるものかどうか」を購入前に確認しておくのがポイントです。

音声品質やデータ通信はよくない?

通話の音声品質や、データ通信の品質はどうでしょうか。

通話の音声品質はキャリアと同等

多くのMVNOは通話回線もNTTドコモやau、ソフトバンクといったキャリアのものを使っているので、音声の品質は同等で、090や080から始まる電話番号を持つこともできます。格安スマホでの通話で余計な雑音が入るのであれば、キャリアの携帯電話端末でも余計な雑音が入るという理論になります(ここでの通話品質とは、あくまで電話での通話の話であって、無料通話アプリのことではありません)。

VoLTEなら

VoLTEに対応しているスマートフォン・携帯電話端末であれば、さらに品質に期待できます。VoLTEとは、LTE回線を利用した音声通話システムです。従来の音声通話よりも高品質な音声で通話ができ、相手に早くにつなげることができる機能のことです。顔を見せながら通話する「ビデオ通話」の映像も、より鮮明になります。VoLTEを使うには、携帯電話端末で有効・無効を設定する必要はありますが、特に申し込みなどは必要なく、VoLTEに対応しているエリアで、かつVoLTEに対応している携帯電話端末同士であれば利用できます。通話する相手も、エリア・端末ともにVoLTEに対応し、かつ同じキャリア回線を利用している必要がありますのでご注意ください。

音声品質は同じ、しかしプランに違いがある

通話に関してキャリアと格安スマホの品質の違いとしてあえて挙げるとすれば、通話そのものではなく、通話に関するプランの充実度です。キャリアの場合は、同じキャリア同士の通話は無料だったり、かけ放題などのお得なプランが用意されていたりします。
一方、MVNOの場合は、かけ放題などのプランがなかったり、3分や10分以内の通話に限定したかけ放題プランの提供が多いようです。
時間を気にせずお得に通話ができるかどうかという点では、キャリアの方が選択肢は多いと言えます。

データ通信速度はMVNOによって変わる

データ通信速度も、基本的にはキャリアと同じです。ただし、格安SIM、格安スマホを扱うMVNOによって、キャリアから借りている回線の量が異なります。いわばデータが通る、複数車線の道路のようなイメージです。交通量が増えれば道路が混雑するように、データ通信を利用する人が多くなればその分回線が混雑するということになり、通信速度は低下します。各MVNOが高速データ通信時の通信速度を公表していますが、実効速度(実際の速度)は必ずしも保証されるものではありません。

利用者の人数が原因となって通信速度が変わるシチュエーションは下記があります。

利用者が多いエリア

都市部や公共機関などでは、スマートフォン・携帯電話の利用者が多く、ネットワークへのアクセスが集中するために時間帯によって通信速度が低下します。ただこれはNTTドコモやau、ソフトバンクといったキャリアの携帯電話でも起こる現象です。格安スマホの接続しやすさも、キャリアと同等か、他に要因があるときには同等以下となります。

混雑する時間帯

通勤・通学時間、お昼休み頃、夜間はスマートフォン・携帯電話の利用者が多くなります。したがって通信速度も低下する傾向があります。

MVNOの利用者数

自分が使っている格安スマホを取り扱うMVNOの利用者数も通信速度に影響します。キャリアから借りている回線の量を利用者で分け合っているので、利用者が少ないほど、通信速度は速くなります。
利用者数の少ないMVNOを選ぶと、そのMVNOが将来的にサービスを継続可能かどうかがリスクとして考えられ、反対に、今後、利用者が増えていくと通信速度が低下する可能性もあります。通信速度の速さを狙って利用者数の少ないMVNOを選ぶのではなく、あくまで格安スマホを選ぶ際の目安としておくのが無難です。
MVNOによっては、利用者数増加を見込んで独自にネットワーク設備を増強し、通信速度の向上を図っているところや利用者が増加に伴い帯域を増やしている業者もいます。

Wi-Fiサービスの違い

各キャリアでインターネットの定額サービスを申し込んでいると、外出先で無料のWi-Fiが利用できます。公衆無線LANと呼ばれるサービスで、NTTドコモなら「NTTドコモ Wi-Fi」、auなら「au Wi-Fi SPOT」、ソフトバンクなら「ソフトバンクWi-Fiスポット」がそれに当たります。これらのサービスは、各キャリアと契約をしている携帯電話・スマートフォンが対象で、格安スマホの場合は対象外です。
ただし、格安スマホを扱うMVNOによっては、独自の無線LANスポットを提供しているところもあります(LinksMateでは、2017年9月現在、提供しておりません)。

緊急速報が受信できるか、災害用Wi-Fiを利用できるか

通信速度の話からは少し逸れますが、通信速度だけでなく、緊急時に適切に連絡が入るかどうかも確認しておきたいところです。格安スマホが災害時の貴重なライフラインとなるかもしれません。

緊急速報を受信できるかはETWSをチェック

緊急速報には緊急地震速報や津波警報、特別警報、災害・避難警報が含まれます。緊急速報は主にETWSという技術を使って配信されているので、格安スマホとして利用する端末がETWSに対応しているか、是非とも確認しておきましょう。3大キャリアより販売されていた端末であれば概ね対応している場合が多いですが、ご利用の端末が対応しているかどうかは事前に調べておくと安心です

格安スマホでも災害用Wi-Fiが使える

また災害時には、発生から一定期間無料で利用できるWi-Fiスポットが解放されます。これは格安スマホでも使えます。もちろん携帯電話端末に損傷がなく、問題なく使える場合に限ります。

【まとめ】音声品質やデータ通信について

通話の音声品質はキャリアと同等です。データ通信速度は格安スマホや使い方、エリアによって変わり、各MVNOが公表している速度以下になることもあります。
これまでのご自身のスマートフォンの使い方を分析し、今まで自分が何をどれだけ使っているかを把握することが、格安スマホ選びの一助となります。緊急時の貴重な連絡手段となる可能性があることも考慮しておきましょう。

地方でも電波がつながるって本当?

かつて携帯電話がなかなかつながらなかった経験がある人なら、地方では格安スマホもつながりにくいというイメージを持っているかもしれません。しかし都心部も地方も、基本は同じです。

基本的にはキャリアと同じ

都心部や地方に関わらず、キャリアが対応していない地域は、残念ながら格安スマホも使えません。居住していなくても、帰省や旅行など頻繁に訪れることがあれば、考慮に入れておく方がよいでしょう。

都心部との違い

地方では都心部に比べると、利用者が一定時間に極端に集中することが少ない傾向にあります。

利用人口

まず都市部よりも地方の方が、単純に人口が少ないので、スマートフォン・携帯電話を利用する人も少なくなります。

利用時間帯

さらに時間帯にも違いがあります。都心部では通勤・通学の時間や昼休み、夜間といった時間帯に、利用が集中します。通勤・通学の時間に、電車やバスの車内でスマートフォンを操作して、サイトの閲覧やSNSへの投稿やチェックをする様子は、よく見かける光景ではないでしょうか。
対して地方では、電車やバスがそもそも少なく、通勤・通学のように、特定の場所にたくさんの人が集中することはあまりありません。移動手段は車、徒歩、自転車などです。スマートフォンを操作しながらの運転はご法度、歩きスマホも自転車スマホも当然してはいけないので、利用自体控えることになります。
したがって、都心部で利用が集中する時間帯は、地方ではそれほど利用が集中しません。このような利用傾向のみを考えると、地方の方が通信がスムーズになる可能性もあると言えます。

【まとめ】地方の電波について

キャリアがそのエリアに対応していなければ、そのキャリアの回線を使っている格安スマホも対応していません。他方で、地方は利用人口が少なく、特定の時間にネットワークへのアクセスが集中することもあまりないので、条件さえ合えば、安く快適にスマートフォンを使えるようになります。

ここに書いてあることはあくまでデータ通信についての話であり、都心部と地方の優劣を決めるものではありません。

ポイントまとめ

以上格安スマホの電波についてご紹介しました。
格安スマホの電波の強さやエリアを見極めるには、その格安スマホを扱うMVNOが「どのキャリアの回線を使っているか」を調べること、そのうえで「利用する格安スマホがその回線に対応しているか」「格安スマホを扱うMVNOがどれくらいネットワーク設備を増強しているか」がポイントとなります。
格安スマホの購入を考えるなら、実はMVNOのみならず、NTTドコモやau、ソフトバンクといったキャリアの最新情報もしっかりと押さえておかなければなりません。それは後々予期せず“つながりにくい”状態になることへの対策につながります。
ご自分の環境と、使い方に合った格安スマホを選びましょう。

各社の社名、製品名、サービス名は各社の商標または登録商標です。

2022年7月8日時点の記事です。一部最新の内容と異なる場合があります。